骨粗しょう症
骨粗しょう症による骨折を減らすことが何より大切です
骨は身体保持や臓器保護の役割と共に、様々な組織に分化する幹細胞を擁しており、生体維持に欠かせない組織です。骨折は、これらの機能を損なうリスクがあります。
若年者の骨折は高エネルギーでの骨折や繰り返しの力での骨折(疲労骨折)が主。各種骨折に対して、個々人の生活背景も考慮した最適な治療を提供します。
高齢者の骨折は骨密度の低下や骨質劣化(骨粗しょう症)を背景とした低エネルギーでの骨折が主。若年者の骨折と違い、要介護となるリスクが高いです。骨折の治療もさることながら、骨折予防が非常に重要です。当院での予防治療により、骨を守る(骨折を減らす)ことができるか、にこだわっていきます。
骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨粗しょう症は軽微な力(立っている高さからの転倒や、5Kg程度の重量物所持等)で骨折を生じる病気です。背骨の場合は外傷がなくても潰れてしまうことがあります(圧迫骨折)。超高齢社会の日本では、約1,300万人の罹患者がいると言われていますが、治療率は約20%と低いのが現状です。高齢者が要介護となる原因として骨折・転倒が認知症、脳血管疾患に次ぐ第3位で13%を占めています(令和元年 厚生労働省 国民生活基礎調査)。骨折の要因である骨粗しょう症の予防と治療を行うことは、要介護者を減少させて健康寿命を延伸する上でも重要です。特に大腿骨近位部骨折では、1年以内の死亡率が20-24%と高く、33%の方は施設入所が必要になり、60%の方が1年後も何らかの介助が必要であるといわれています。また、初回骨折後に対側の骨折を生じる可能性も非常に高いため、二次性骨折(2回目の骨折)予防のための骨粗しょう症治療が必須です。しかしながら、現状は治療介入・治療持続率共に不十分です。若年者の骨折と違い、高齢者の脆弱性骨折は生命予後(命に与える影響)にも大きな影響を及ぼし、介護の負担も増加します。特に女性では閉経後に急速に骨量が低下することが多いため、骨密度を測定して、必要に応じて薬による治療を行うことが重要です。あわせて、転倒予防のために筋力訓練を行ったり、必要十分量のたんぱく質を摂取することも骨を強くする上で有効です。

骨粗しょう症になりやすい人は?

骨粗しょう症には、自覚症状がほとんどなく、骨折して初めて気付くケースも少なくありません。女性に多く見られ、特に女性ホルモンが減少する閉経後は定期的な検査をおすすめしています。
  • 閉経後、身長が縮んだ
  • 背中が丸くなってきた
  • 運動不足である
  • タバコを吸う、お酒をよく飲む
  • 痩せ型である
  • リウマチにかかっている
  • 日光にあまり当たらない
  • 家族で骨粗しょう症患者がいる

骨粗しょう症の検査

当院ではDEXA法で正確な骨密度測定を行います
骨密度を測る方法はいくつかあり、手の甲やかかとなどで測る骨密度検査を健康診断などで受けられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。当院では、日本骨粗鬆症学会の診断基準となっているDEXA法での骨密度検査を行っています。DEXA法は、「腰椎(腰の骨)」と「大腿骨頸部(股関節)」の骨密度で測る方法で、手やかかとより正確な測定結果を得られることができます。必要に応じて、血液検査も行い、正確な骨粗しょう症の診断へとつなげています。
骨密度測定器

骨粗しょう症の治療と予防

骨粗しょう症の治療は、基本的に薬物治療を中心として行います。併用して、運動療法と食事療法も取り入れながら治療を進めていきます。薬物療法は、内服薬や注射薬などさまざまなお薬の中から、患者さんのライフスタイルに合わせたものを相談しながら選んでいきます。ウォーキングや筋力訓練などを行うことは、骨密度を上昇させると言われています。転倒・骨折防止のためにも、理学療法士がアドバイスを行いながら、運動指導を行います。また、普段から、カルシウムだけでなく、ビタミンD、ビタミンKを摂取することを心がけ、アルコールやカフェインの摂りすぎには注意してみてください。
骨粗しょう症は、症状や治療の効果を感じにくい病気ですが、元気に歳を重ねていくためにも、予防から取り入れていただきたいと思います。当院では、患者さんお一人お一人に合わせて最適な骨粗しょう症治療をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。